誰の悪口でもないジブリ声優問題の考察

ジブリは声優を使わない。

いや、嘘である。

初期の作品では使っていた。

では、なぜ使わなくなったか。

一説によると、リアリティ重視の自然な演技が欲しいと言う。

一説によると、宣伝のためだと言う。

一説によると、タレント事務所の圧力だと言う。

 

よくわからんから、考えてみるに、ジブリの二大監督は高畑勲氏と宮崎駿氏であり、ここに鈴木敏夫氏がプロデューサーとして入りできあがった。

三人の関係性はドキュメンタリー番組で伝えられている通りであれば、

高畑勲氏の演出力と教養に、憧れを抱いているのが宮崎駿氏であり、

けれども宮崎駿氏のアニメ製作能力に惚れ込んだのが鈴木敏夫氏であり、

そうして高畑勲氏はといえば、これは超理論的芸術家路線を独自に突っ走る人であったらしい。

 

という人間関係から推測するに、多分、大元は高畑勲氏であると思う。

高畑勲氏が演出のために声優を使わなかった。

それに触発された宮崎駿氏が声優を使わなかった。

これはラッキーと思ったのが、鈴木プロデューサーと、広告代理店だったろう。

宣伝の材料ができた。

タレント事務所の方では、ジブリに出れば好感度が上がる。

 

けれども、ここに実力というのが無い。

タレントはタレントであって、声優ではない。

この声が欲しいというのならわかるけれども、今までそんなキャスティングであったか、わからない。

特にジブリが映画界の大看板となってからは余計にそう思われる。

 

演出のため、欲しい声のためでないなら、当初の高畑勲氏の考えからもぶれている。

 

正直、烏滸がましいのを承知で、違和感というか、拒否感がすごい。

 

声優を使ってくれるのが一番ありがたいのだが。

それでは客が来ないのだろうか?

そんなことないと思うのだが。

 

まあ、最後は任せるしかないのだが、だからこそ大丈夫なのかと不安になる。

 

最悪なのは、ある種のスマートさを失った歪な陰気なものができて、さんざんにマイナスの批評を貰うことである。

「あーあ」と言って終わりである。