もう、なにもかも終わりかもしれない。
なにもかも終わりかもしれない、というのすら、何度か繰り返しているから、
本当にもう、なにもかも終わりかもしれない。
正直、別の何かをしようとも思わない。
もう、なにもかも終わりかもしれない、というのを、何度も繰り返しているからである。
自分が生まれ落ちた場所は、それほどまでにつまらないところであったかと、ただ、ただ、思うだけである。
いやあ、ひどい目にあったと、ただそれだけである。
十分な仕事を、もう僕はしている。
作家に、小説家になるだけの仕事はもう済んでいる。
あとはもう僕の範疇にない。
それで駄目なら巡り合わせが悪かった、としか言いようがない。
これまでの努力や不運について考えようとも、もはや思わない。
もう、なにもかも終わりかもしれない、というのを、すでに何度も繰り返しているから、なんとなく、馬鹿らしいのである。
実存上の大事の感が薄れているというか、磨耗して、今はどこか懐かしささえ覚えるのである。
どうしようもないね。ただ一言それだけ言って、いや、言わなくとも、心の中で思って、小説のことなどすっかり忘れてしまうだろう。
忘れてから、死ぬか、生きるか、生きて何をするかというのは、皆目見当がつかない。
とても疲れた。
それだけが正直な気持ちだと、はっきりとわかる。