ぼっちざろっくの作品強度?

ぼっちざろっくはきららアニメではあるが、実のところエンタメとしての作品強度が高い。

この点を多くの人が見落としている。

 

第一に、ぼっちざろっくは主人公のぼっちちゃんの成長譚として立派な物語構造を持っている。

 

第二に、ぼっちちゃんの成長を楽しみつつ、そのぼっちちゃんとの関わりを通して、周りのキャラクターの個性を感じとり楽しむことができる。

ストーリーとキャラクターともう二つの楽しみがあって、さらには奇抜ともいえる演出がキャラクターの個性を際立たせている。

 

第三に、学校外活動であることがまた新鮮である。つまり街の、背景の力もまたエンタメに寄与している。

その他の、こうした類いのアニメは部活動の形式を取ることが多かった。自然、校内の描写が多くなるが、メンバー四人のうち二人は別の学校である。つまり同窓生ですらない。意外とこのパターンは画期的である。

 

第四に、インディーズバンドの世界観を覗き見る楽しさがある。ライブハウスってこんな感じで、チケットってあんな風に手売りするのかと、アニメの映像で、親しみやすいかわいい女の子が教えてくれるのが良い。知らない世界を知るようで興味を惹かれる。

 

第五に、曲が意外と良い。世界観にマッチしているし、今風で、さらには本当にアニメ内のバンドが存在しているようなリアリティまで担保している。

今までもロックバンドを題材にしたアニメはあったが、ぼっちざろっくは日常系アニメの特性がうまい具合に作用していて、映像の全部、本編の全部が、現実的にかっこいい。奇抜な演出も「ロックだね」の便利な一言で済んでしまう。(実際、題材がロックだからおかしくもない。)

そうであって、別世界という感じもしない。むしろ強い共感が呼び起こされる。つまりそれは、強烈に視聴者を惹き付けているということである。

 

他にも、ぼっちざろっくの人気の秘密はありそうだが、とりあえず、この五点はすぐに思いつく。

少し分析しただけでも、ぼっちざろっくは意外とよく作り込まれていることがわかる。